エレキギターの音で一番衝撃的だったのは中学の同級生の寺田君だ。彼の兄がグレコレスポールと小さなアンプを持っていて寺田君は俺の目の前で爆音でコードを弾いた。初めて間近で聴いたエレキギターの音は衝撃だった。

彼は中学一年にしてビートルズを弾きこなしそれにも驚いた。どうやってマスターしたのか尋ねると何回も聴いて練習するだけだよと彼は言っていた。ビートルズには関心は無かったけど、最初のエレキギターの音が衝撃的過ぎた。俺もこうなりたい!リードギターよりコードを爆音で鳴らしたいと思って今に至る。

思い返すとTHE USERSのような音だったな。ただ、俺は熱心なロックリスナーでも無く当時、流行っていた洋邦のポップスしか知らない中学生だったのでエレキギターは既に持っていたけどやりたい音楽が無い中学生だった。

パンクを知ったのも随分と後で高校一年の頃なので三年後だ。その間はチューニングの合ってないギターでコードブックでコードを覚えるのとラジカセに繋げてガチャガチャ音を出すくらいだった。それくらい無知だったし寺田君も独学だと言っていたので、その教えを守ってた訳だけだけど少しは教えてもらえば良かったな。

バンドもやりたかったけど服も欲しいし遊びたいしで物凄く中途半端だった。まあ、今も変わらないな。人間、そうそう変わるもんじゃないな。